中学受験に英語は必要なの?「御三家」の2021年度入試科目をチェックしてみた!
2020年春は、首都圏だけでも141校もの学校が新たに「英語」を中学受験の入試科目として追加しています。
では、いわゆる「御三家」はどうだったのか?
今回は、御三家の入試事情を「英語」という観点から見ていきたいと思います。
英語が小学校の科目として本格的に採用されるようになりました。
となれば、「中学受験の科目も変わるの?」という点が気になりますよね。
実際のところはどうなっているのでしょうか?
では、まず男子校の御三家から見ていきましょう。
開成中、麻布中、武蔵中ともに、2021年の入試については「英語」の科目はありません。
御三家といえば、御三家⇒東大⇒海外留学というコースを進み、世界に通用するような研究成果を出したり、世界の経済を揺るがすような商品を開発したりする人材を輩出するイメージも強いでしょう。
それなのに、中学受験ではまだ英語を採用していないのか!というのは意外に思われる方も多いかもしれません。
しかし、この三校が「英語」という学問を軽視しているのかというと、決してそうではないのです。
例えば武蔵中が実施している「REDプログラム」は、自分で調べた科学の知識を英語でまとめてプレゼンするというもの。
つまり、英語という言語を額面通りに科目として学ぶだけではなく、教科の枠を超えて、「表現」の一ツールとして身に着けていける環境が整っているということ。
より実践的でアクティブな英語力を身に着けていくことができるのが御三家をはじめとする名門校の特徴ですね。
ゆえに、入学の段階ではあえて「教科」として英語の試験を設けていないのかもしれません。
続いて、女子校の御三家です。
桜蔭中学校、雙葉中学校、女子学院中学校、いずれについても、2021年春の入学試験では「英語」はありません。
「グローバル」が叫ばれる時代に、名門校がそろいもそろって入試に「英語」を加えないというのはちょっと不自然なようにも感じられます。
ベースにあるのは、「英語は学問というよりもコミュニケーションのツール。それはこれからいくらでも伸ばしていけるから、まずは入試では基礎的な学力をチェックさせてくださいね」というスタンスなのでしょうか。
一方、2020年度は新たに「英語」を入試科目として導入した学校も多く、例えば慶應義塾湘南藤沢が試験科目として英語を取り入れました。
そのほか、「バランスよく全科目できること」を求めるのではなく「算数1教科入試」を導入するなど「なにか一つ秀でたものがあれば、そこを評価して伸ばしていきますよ」というスタンスの中学も増えてきています。
中学入試も多様化しつつある時代だということですね。
だからこそ、かえって「お受験のスタンダード」を貫く御三家が魅力的に思える側面もあるかもしれません。
時代が変わっても、人の本質は変わりません。
きっと未来も、今の私たちと同じようなことで悩み、もがき苦しむでしょう。
そして、その本質な答えも今と大きく変わらないのかもしれません。
・・・とすれば、時代が変わろうとも人が最低限身に着けるべき知識は大きく変わらない。
実際、4000年の歴史を経てもなお「ピタゴラスの定理」は今も教科書に必ず載っていますよね。
だから、「時代が変わっていくんだから、中学試験のあり方も変えるべきだ」という主張はちょっと乱暴です。
むしろ、変わらないものを大切に守り続けていくこともまた教育の一つの役割なのではないでしょうか。
とはいえ、2020年春は新たに英語を入試に取り入れた中学が141校もあったということで、「幼稚園から英語習ってました」「英語を生かして中学受験を勝ち抜きたい」みたいな人はそっちの学校を選ぶようになるかもしれません。
人の流れが変わるのは確実なので、御三家といえどもあぐらをかいてはいられないでしょう。
数年後には御三家だって入試科目として英語を追加するようになる可能性もありますし、中学受験の科目になっていないから英語は手を抜いて良いということではありません!
入ってから差がつくポイントでもあるので、たとえ受験科目で英語がなくても英語力はしっかり磨いておきましょう。
いわゆる「御三家」と呼ばれる学校の中学受験の科目に英語があるのかないのか、その理由について考察してきました。
ポイントを整理します。
- 2021年の入試に関しては、御三家では「英語」は必須科目として取り入れていない
- 一方で、新たに英語を入試科目に加えた学校も多かった
- 教育の本質は変わらないが、受験の形態は今後変わっていく可能性がある
英語は、まだ見ぬ世界への扉を開く鍵でもあります。
ただ知識を身に着けただけでは意味がなく、それを使って何ができるか?実生活にどれだけ生かせるかが重要ですよね。
科目というよりコミュニケーションスキルの一つとして捉えたほうが、無理なく自然に身に着くのではないでしょうか。
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